介護職が行える医療行為の範囲について

介護職の人間が施せる医療行為には限りがある。薬の管理に関して介護の人間ができるのは与えられた薬の準備、服用時間の確認、服薬の補助などの服薬介助のみで、服薬指導、薬の調整、管理といった服薬管理は看護師などの医療職でなければできない。介護職の人間が誤って禁止されている医療行為を行ってしまうと、要介護者の命にかかわることになりかねないし、違反者が訴えられたり送検されたりすることもあるので注意が必要だ。

介護職が扱える医薬品は目薬、軟膏、湿布、座薬、一包化されている内用薬などだ。これらの医薬品は、患者の容体が安定しており、投与する医薬品に対して副作用などの危険性が無いことが確認されていれば、介護職員が服薬を補助することが許される。

医薬品以外では、切り傷や火傷などの処置、爪切り、耳掃除、排せつ物の処理などは、命に関わる行為ではないとされ、介護職員が行うことができる。しかし皮膚や粘膜に異常が見られる場合は、専門の知識を持った医療職の人間が処置を行わなければならず、介護職は手をつけてはいけないことになっている。

また、インスリン注射や点滴の管理は、医療職でも間違いを起こしやすい行為だ。当然介護職は手を出してはいけない。

健康状態や薬の事情は患者によって1人1人異なるため、服薬介助について明確な線引きをすることはできない。1人の患者に対しては問題なかった処置が、他の患者にとっては命を左右する行為になることは珍しくない。それぞれの患者の状態を丁寧に把握し、1人1人適切な対応をすることが重要になる。